こんにちは、Portafortuna♪光琉です。
夜はことさら涼しくて気持ち良いのでついつい夜更かししてしまいます。おかげで寝不足続き。改めやなアカンとは思いつつも、寝るのがもったいなくてだらだらと遅くまで起きてしまいます。
浅田次郎さん「母の待つ里」
そんな夜更かし時間、浅田次郎さんの「母の待つ里」を読みました。
本の帯には「家庭も故郷もない還暦世代の3人の男女の元に舞い込んだ<理想のふるさと>への招待。奇妙だけれど魅力的な誘いに半信半疑で向かった先には、かけがえのない<母>との出会いが待っていた。彼らが見出す人生の道しるべとは?」とあります。
とあるクレジットカード会社のブラックカードを所有する富裕な還暦世代の3人がそれぞれ、カード会社が提供する<疑似ふるさと>体験サービスを利用し、その後の人生の道しるべをみつけるというファンタジーです。いろんな事情を抱える3人が<ふるさと>に住む一人暮らしの高齢の<母>と触れ合い、癒され、諭され、励まされます。最後は「え!そうなの?」って展開です。そして最後の最後2ページで泣かされます。「そうやったのか」「だからか」って。だから絶対最後から読んじゃだめですよ。ちゃんと前から順に読んでください。
カード会社の完璧な<担当者>、有能な<秘書>そして里の<母>の対比が興味深かったです。
<母>は含蓄のあるセリフをたくさん聞かせてくれますが、中でも「苦労は忘れねば報われねど」というのが心に残りました。なるほどな~、苦労にばっかり意識が行っちゃうけど。
僕は1週間かけて読みましたが、読むのがめちゃくちゃ早いマダムは半日で読みました。しかも1回半。1回半ってなんやねん!?って?結末を知った上で2回目は<母>のセリフを中心に読み飛ばしていったみたい。そうしたくなるのもわからんでもない。でもね、マダムは読むの早いって言っても、早いだけで全然本の余韻味わってないんですよ。だってね、1回目読み終わった後で「最後の最後で泣けるやろ?」って聞いても「方言(岩手弁)が強くてあんまり意味わからんだ」とか言うんですよ!信じられやん!そこ一番大事やん!余韻もへったくれもないやん!先を読みたい先を読みたいと焦り過ぎ。浅田さん丹精込めて書いとんのやからストーリー追うだけやなくて、ゆっくり味わって読まな~。というので僕がかくかくしかじかと解説をして差し上げました。その上で2回目を読み飛ばしてたんですが、もう号泣号泣。寝るまで泣いているんですから、泣きすぎやろ!ってぐらい。僕はそこまでは泣きませんでしたよ。でも、最後を読んでから読み返すと、<母>のたくさんのセリフが一層胸に響きます。
読み終わった後に心地よい余韻が残る小説です。読んで良かったな~。秋の夜長にしんみりできます。