こんにちは、Portafortuna♪光琉です。
前回の投稿では、殺菌方法の違いに焦点をあてて牛乳について書きました。
今回は、牛乳の味わいに影響を与える乳脂肪に焦点をあてて牛乳について書きたいと思います。
ホモ牛乳・ノンホモ牛乳
普段スーパーで見かける牛乳(種類別:牛乳)は、殺菌方法に関係なくほとんどがホモ牛乳と言われるものです。それに対してノンホモ牛乳というものがあります(三重県津市ではほとんど見かけません)。
生乳(=搾ったままの牛の乳)100gの中にはだいたい3.7gの脂質が含まれています。乳脂肪ですね。「だいたい」と書いたのは、牛種や個体・季節によって違うからです。顕微鏡の世界ですが、乳脂肪は生乳の中で大小さまざまな大きさの粒子(脂肪球)となって分散浮遊しています。生乳をそのままなにもせず放置しておくと、脂肪球が浮いてきてクリームラインと呼ばれる層を形成します。生乳中の脂肪球に対して何も処理せず殺菌などの工程を経て牛乳にすると、牛乳の中の脂肪球も大小さまざまなものが混在することになり、放置しておくとクリームラインができます。脂肪球に対して何も処理せず製造された牛乳のことをノンホモ牛乳と言います(殺菌方法は関係ありません)。
でも、スーパーで買ってくる普通の牛乳=ホモ牛乳にはクリームラインなんてありません。あれは、牛乳製造工程で殺菌する前にホモジナイザー(ホモゲナイザー)という機械を通して、脂肪球を小さい均一の大きさにしているからです。それにより脂肪球の浮力が小さくなり、生乳・牛乳中に均一に存在するようになり、上面に浮いてこなくなるのです。ホモジナイザーというのは簡単に言うと、生乳に圧力をかけて細かい目のフィルターを通すことによって脂肪球の大きさを小さく均一にする装置です。
ノンホモ牛乳の方がおいしいのか
人間の脳は、乳脂肪(脂肪球)=甘み・コク=美味しさと捉えます。乳脂肪が多い方が甘くコクがあって美味しいと感じます。ということは、ノンホモ牛乳を買ってきて、冷蔵庫でしばらく置いておいて、わざとクリームラインを形成させたうえで、その部分を飲めば、より甘み・コクが出て美味しいということになります。なんですが、1リットルの牛乳1本に入っている乳脂肪が例えば3.4%ってパッケージに書いてあれば、それは牛乳1本全部の中の乳脂肪が3.4%ってことなので、クリームラインに乳脂肪が集中してしまっているということは、それ以外の部分は乳脂肪が少ない(=脱脂乳)ということになります。最初の1杯目は確かに甘みとコクが強くて美味しいですが、その分2杯目以降は甘み・コクが少なくなるということです。それに対してホモ牛乳だと、牛乳中に乳脂肪(脂肪球)が均一に分散されているので、コップに1杯目であろうと最後の一口であろうと全部均一に3.4%、同じ味わいで楽しめます。
時折ノンホモ牛乳の方が美味しい、ミルクティーもノンホモ牛乳で作った方が美味しいという意見を目にしますが、それはあくまで1杯目に限っての話だと思われた方が良いと思います。
当店で採用している大内山牛乳はホモ牛乳です。季節により多少バラツキはありますが、基本的にいつも同じ味わいの牛乳ですのでいつも同じ味わいのミルクティー・ロイヤルミルクティーをお楽しみいただけます。
余談
①ホモ牛乳はホモジナイザーで脂肪球を小さく均一にしてあるので消火に良いというメリットがあります。
②生乳・牛乳が白いのは乳脂肪(とカゼインたんぱく質)の粒子に光が反射しているからです。
③放っておくと脂肪球が浮いてきてクリームラインが形成される現象を利用して造られるのが、バターや生クリーム、あるいは脱脂乳です。