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新作メニュー セイボリースコーン お菓子ではなく軽食系スコーン  

2025-04-11

こんにちは、Portafortuna♪光琉です。

昨日の帰り道、NHKラジオを聴いていたら夜中の2時前にグリーグのペール・ギュント「朝」がかかっていました。8月にヴィヴァルディの四季「冬」だけをかけるようなもんやん。NHKさん頼むで、朝までまだだいぶ時間あるし。

さて、今回は新作メニュー「セイボリースコーン」をご紹介します。当店の看板メニューに新たに加わること間違いなしの美味しさにできあがりました。ぜひお楽しみ下さい。

セイボリーとは

でも、まずは、なんですが、セイボリーってあまり馴染みのない言葉ですよね。セイボリーsavoury(英) savory(米)とは、「塩気の効いた」を意味する英語です。スイーツに対をなす感じの言葉です。スイーツに対してセイボリー。アフタヌーンティーで三段スタンドの下段に盛られて提供されるものも総称してセイボリーと呼ばれます。サンドウィッチやキッシュ、当店のアフタヌーンティーでは必ず提供しているケークサレなどの総称がセイボリーです。どれも甘いものではなく塩気の効いたティーフードですよね。

セイボリースコーンとは

イギリスのティールームでは、お菓子としてのスコーンだけでなく、軽食としてのスコーンも提供されています。それがセイボリースコーンです。その定番はチェダーチーズの入ったチーズスコーンとハーブを使ったハーブスコーンです。ドライトマトやオリーブ、ズッキーニ、ニンジン、ベーコンなどをそれぞれ使って作るセイボリースコーンも一般的です。
お菓子としてのスコーンにはいちごジャムとクロテッドクリームをのせて食べるのが基本スタイルですが、軽食としてのスコーン(セイボリースコーン)にはチャツネとバター又はクロテッドクリームをのせて食べるのがオーソドックスな食べ方です。

当店のセイボリースコーンセットは、チーズスコーンとハーブスコーンにチャツネとバターを添えるスタイルです。

チーズスコーン

チェダーチーズとイングリッシュマスタードを使うのはイギリスのチーズスコーンの定番です。当店でも定番を踏襲しました。チェダーチーズはスティルトン(青かびチーズ)と並ぶイギリスを代表するチーズのひとつです。酸味のある、もろい食感のハードチーズです。牛の乳から作られます。製造過程で酸度を上げて日持ちを良くするためにチェダリングという工程を経て作られます。イングリッシュマスタードというのは、風味は和からしと大差ないのですが、ツンとくる刺激が控えめなのが特徴です。これが田舎の津ではなかなか手に入らない、地方で商売をするのはこういう点で大変なんですよ。
全粒粉を加えて香ばしさをプラスした生地はイングリッシュマスタードの風味がアクセントになっています。たっぷり入ったチェダーチーズ、スコーン生地の表面にむき出しになった部分がオーブンの熱で溶けて「チーズパリパリ」みたいになって一層美味しくなります。次にご紹介するハーブスコーンもそうなんですが、チーズスコーンは当店のお菓子としてのスコーンと比べて少ししっとり感を抑えてあります。そうしないとロールパンみたいな食感になってしまうし、セイボリースコーンは歯ごたえがある方がより美味しく感じられます。さらに水分を減らして歯ごたえをアップさせることもできるのですが、それだと当店の「しっとり香ばしいスコーン」という良さがなくなってしまうので、ギリギリのところにしてあります。

ハーブスコーン

オレガノなど3種類のハーブにガーリックも加えた生地は、当店のスコーンには珍しく白い。ハーブの香りが引き立つようにハーブスコーンには全粒粉を入れていないので白い生地になります。その分ハーブの緑が映えます。そして生地にはイタリアのハードチーズ・グラナパダーノをパウダー状にしたものを混ぜてあります。グラナパダーノは北イタリアで牛の乳から生産されるチーズで、有名なパルミジャーノレッジャーノの弟分のような存在です。製造方法もほとんど一緒、生産地域も隣接しています。パルミは当店の季節限定裏メニュー・バジルソースのパスタにも食材として使っていますが、多くはそのままかちわりで、あるいはスライスして食べることが多いチーズです。一方でグラナはそのまま食べるよりも食材として消費されることが多いチーズです。イタリア料理店には欠かせない存在です。
ハーブスコーンもやはりお菓子スコーンと比べると硬めの食感です。でもモソモソするようなことはありません。

チャツネ

ここまでチーズスコーン・ハーブスコーンについてご紹介しましたが、セイボリースコーンにはもう一人主役がいます、チャツネです。
チャツネは日本でしか通用しない和製英語で英語ではチャトニーchutneyと言います。チャツネはインドや西アジア・南アジアに起源をもつソース状・ペースト状の調味料・スプレッドです。野菜や果物を香辛料やハーブ、酢、砂糖、塩などと共に煮込んだり漬け込んだりして作られます。マンゴーチャツネは日本のスーパーでも目にしますね。カレーの隠し味などに使われています。そしてこのチャツネ、イギリスに伝えられると独自発展していきました。イギリスではマンゴーなどの南国フルーツが手に入らなかったので、代わりにりんごや洋ナシ、玉ねぎ、トマトなど身近な食材を使って作られるようになり、現代ではイギリスの食卓には欠かせない存在になっています。スコーンにつけて食べる他、ハムやチーズにつけたり、ドレッシングとしても食されています。玉ねぎで作るチャツネはオニオンマーマレードとも呼ばれます。
チャツネはなにも庶民の食べ物というわけではありません。英王室のキャサリン妃がエリザベス女王に初めて贈ったクリスマスプレゼントは、ミドルトン家に伝わる秘伝のレシピで作ったお手製チャツネでした。
そんなチャツネですが、当店のチャツネはマダムが試行錯誤のうえたどりついた絶品トマトチャツネが基本です。トマトや玉ねぎを酢や香辛料などとともに煮詰めて作っています。これがめちゃくちゃ美味しいんです。とてつもなく美味しい。

このセイボリースコーンセットをメニュー開発するにあたって、スコーンは僕が担当していろいろ試しましたが、チャツネはマダムが受け持ち、「もういい加減にしろ」というぐらい試作しました。おかげでマダムのチャツネレパートリーは無限になりました。現在提供中の2025ストロベリーアフタヌーンティーで提供している「生ハムといちごチャツネのオープンサンド」のいちごチャツネはこの試行錯誤の中から生れたレパートリーのひとつです。

チャツネは、基本はトマトチャツネですが、マダムの気分次第でいろんなチャツネを提供する予定ですのでお楽しみに。

セイボリースコーンの食べ方

お菓子のスコーンと同じで、まずは上下半分に手で割ってください。そしてまずは何もつけずにそのままお楽しみ下さい。チーズもハーブもそれだけでもすっごく美味しいです。その後は、バター(大内山バター)だけをつけたり、チャツネだけをつけたり、両方つけたり、味変しながらお楽しみ下さい。繰り返しますが、まずは何もつけずに食べてくださいね。
紅茶は、ラグジュアリーティー・フォートナムアンドメイソン・ロイヤルブレンドあるいはPortafortuna♪オリジナルブレンドが特におすすめです。

冒頭でも書きましたが、セイボリースコーンセットは当店のスターメニューに新たに加わること確実です、ぜひぜひお楽しみ下さい。