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英国の伝統クリームティー~スコーンと紅茶が織りなす幸せな時間~

2023-02-04

こんにちは、Portafortuna♪光琉です。

今回は、Portafortuna♪の看板・一番人気メニューの“クリームティー”をご紹介します。
ご来店の際は必ずクリームティーをご注文されるお客様、今月のスコーンを毎月楽しみにご来店いただくお客様など、多くのお客様を虜にしている当店のクリームティー、その魅力をご紹介します。

英国の伝統“クリームティー”

でもその前にまず、クリームティーをご存じですか?生クリームの入った紅茶のことではありません。英国では、ポットサービスで提供される紅茶(ミルクティーという話も)とスコーンのセットのことをクリームティーと呼び、ティールームの定番メニューとなっています。そしてそのスコーンには、ジャム(基本はいちごジャム)とクロテッドクリームをたっぷりつけていただきます。たっぷりってところが大切で、なにせイギリス人は「ジャムとクロテッドクリームを食べるための土台がスコーンだ」と言うぐらいですから。健康診断の結果もダイエットも忘れて楽しんで下さい。

昼下がり、晴れていればなお最高、温かく香ばしいスコーンには赤いいちごジャム、濃厚なクロテッドクリーム、そして丁寧に淹れた紅茶、想像するだけでも豊かな気分になりませんか?

でも残念なことに「スコーンなんてパサパサしとるし」「スコーンなんて家庭料理やからそんなあらたまって食べるもんでも」なんて耳にすることもちょくちょくあります。もったいない!!!そんな方にこそPortafortuna♪のクリームティーを一度試して欲しいと願っています。世界が変わります。

スコーン

腹割れ

雑誌などでは真ん中あたりが割れている所謂“腹割れ”しているスコーンをよく見かけると思います。あれは「狼の口」と表現されるもので、腹割れがあることが上手く焼けた証拠だと言われたりもします。どうやったら狼の口ができるのかについてはたくさん情報があってどれが正しいのかわからないぐらいです。ラブインという粉とバターを混ぜる段階で決まる、生地の折りたたみ方で決まる、成型で決まる、鉄板への置き方だ、セルクルを使えばいい、オーブンの温度だ、作りだしたら手を休めず焼成まで一気に終わらせればいい等です。イギリスでは家庭の数だけレシピがあると言われるスコーンですから、多分どれも正解なんです。作ってみてうまく狼の口ができればその作り方がその人にとっては正解だというだけのことだと思います。でも、どうやらイギリスの人達はそんなに気にしてなくて、狼の口ができたらラッキーぐらいのものみたいです。

ホテルスコーンとティールームスコーン

そして、スコーンには2タイプあると言われます。ホテルスコーンとティールームスコーンです。ホテルスコーンは、狼の口はなく、しっとりした食感。ティールームスコーンは狼の口があって、ざっくりした食感(悪く書けばパサついた食感)。どっちもスコーンであって、どっちを作るかは作る人の好みによるってことですね。
さらに三角形に切ってあるアメリカタイプのガリッガリのスコーンもあります。スターバックスコーヒーで食べられるタイプですね。もっと言えば湖池屋にもスコーンはありますね、あれはあれで美味しい。
当店のスコーンは、しっとりしていて狼の口もそこそこあるというホテルとティールームのあいの子を目指しています。

スコーンへの情熱

提供開始以来、さらなる美味しさを目指して試作を繰り返し、改良を重ねて現在のスコーンになっています。2022年9月中旬には大幅にレシピを見直しました。三重の片田舎から名古屋や大阪などの都会に行くと必ず食材屋さんに寄っていろいろ新しい食材を探すのですが、特に小麦粉やバター、塩なんていうのは片っ端から試して今の材料・分量に至っています。

狼の口についてもいろいろ試行錯誤しました、今もしています。してきたからこそ先ほど書いたようにどれも正解なんだなとわかったわけですが、自分の中でこれかな!?という作り方を見つけるのに3年ぐらいかかりました。
それでもまだ一つ完全には解決していないこともあるんです。それは、プレーンスコーンだけなんですが、焼成すると上面が割れてしまうことが時折あることなんです。ここ数か月はそういう現象が起こらなくなったのですが、原因が定かではないので、たまたま上手くいっているだけなんじゃないのかという不安が残っています。ただ、インターネットで見てみると、そんなに気にする必要もなさそうなんですが、やっぱり美しいものを提供したいので気になっちゃうんです。

Portafortuna♪のスコーンの特徴

当店のスコーンの特徴を手短に書くと「しっとり、香ばしく、甘みは小麦粉から」です。この後詳しく書いていきます。

尚、当店では、プレーンスコーンとレーズンスコーン、今月のスコーンの3つのスコーンをいつもご用意しています(ご注文はプレーンスコーン+レーズンスコーンand/or今月のスコーンのセットで承っております)。

プレーンスコーン

複数の小麦粉をブレンドしています。全粒粉も使っているので香ばしさが堪りません。プレーンスコーンのためだけに仕入れている全粒粉を使っています。
小麦粉とジャム、クロテッドクリームの甘みを楽しんでいただくためにプレーンスコーンには砂糖を一切使用していません。「スコーンの甘みは小麦粉から」です。小麦粉に甘みがあるので砂糖が入っていなくてもしっかり甘みを感じます。
そして製法に少し工夫をしてしっとり仕上がるようにしています。科学的な根拠のない僕の感覚でしかないんですが、この「しっとり感」と「狼の口」が相反する感じがするんです。両方を手に入れるのに苦労しているんです。
レーズンスコーンや今月のスコーンにもいくつか特におすすめのものがあるのですが、結局プレーンに落ち着くと言うか、何も入らないシンプルなスコーンほどしみじみとした美味しさがあって一番のおすすめスコーンです。いつ食べても飽きません。いちごジャムとクロテッドクリームとの相性も極まっている感があります。

レーズンスコーン

レーズンスコーンは英国でも定番のスコーンです。こちらも複数の小麦粉をブレンドしていますが、プレーンスコーン用のとは違う全粒粉を使っています。レーズンはカリフォルニアレーズンです。レーズンスコーンにも砂糖は一切使用していません。プレーンスコーンに負けず劣らず安定の美味しさです。さきほどプレーンスコーンを「一番のおすすめスコーンです」と書いたことを後悔するぐらいレーズンスコーンもおすすめです。

今月のスコーン

4月と5月は“モーツアルトいちご”スコーンが続きますが、それ以外は毎月違うスコーンを提供しています。柚子、さくら、ココナッツ、メイプルくるみなどなどです。基本的には毎年同じ月には同じスコーンになりますが、時折新作を投入します。2022年の10月はりんごスコーンが初登場しました。2023年1月はミンスミートスコーンが数量限定で初登場しました。
今月のスコーンについても一部を除き基本的に生地には砂糖を使わないのですが、例えば柚子スコーンの場合、三重県産無農薬柚子を氷砂糖でシロップ漬けにしてその柚子を生地に混ぜ込むので生地には砂糖を使ってませんが、フィリングには砂糖を使っています。
今月のスコーンは、当店のインスタグラムで必ずご案内していますのでぜひチェックしてみて下さい。ちなみにこの投稿を書いている2023年2月はきんかんスコーンです。

“モーツアルトいちご”の粒まるごといちごジャム

ここまでスコーンのことを書き続けてきたので、Portafortuna♪のクリームティーはスコーン命なんやなと思われると思うのですが、もちろんその通りなんですが、スコーン同様にジャムも命なんです。
先日「祝受賞 モーツアルトいちご」というタイトルで投稿したばっかり(ぜひご一読下さい)なので、そちらを読んでいただいた方には重複する記述もありますが、ご容赦下さい。

“モーツアルトいちご”

“モーツアルトいちご”とは、当店マダムの両親がモーツアルトを聴かせながら大切に育てているいちご(品種は章姫(あきひめ))のことです。モーツアルトを聴いて育っているから名付けて“モーツアルトいちご”です。
米の兼業農家だった義父がずっと想いを温めていたのがいちごの栽培でした。長年勤めた会社を早期退職し、夫婦でいちごの栽培を始めました。もう15年以上前のことです。その時点で義母はまだ兼業でした。
詳しくは先の投稿で書きましたのでここでは省略しますが、その後いろいろ苦労しながらも「他の誰のいちごよりも美味しいと喜んでもらえるいちごを育てたい」と試行錯誤しながら、愛情を込めて育てているいちごです。
真面目に一生懸命やっていれば美味しいいちごになるに決まっています。評判も良く、当店でも「美味しい!こんなん食べたことない!」とたくさんのお客様に喜んでいただいています。喜ばれるのが普通状態で、僕たち夫婦二人は何もしていないにもかかわらず「えっへん!」顔をしています。

そんな(義)両親の姿をいつも見ている僕たちです、特に当店のマダムはいちごへの愛着もなみなみならぬものがあります。“モーツアルトいちご”を使ったメニューついては一段の気合いのいれようで開発しています。一球入魂、バリエーションはそんなに豊富ではありませんが、ひとつひとつのメニュー開発に心血を注いでいます。

危うく話がそれてしまいそうになってしまいました。“モーツアルトいちご”メニューについては、また別の投稿で順次詳しくご紹介していくことにして、ここではクリームティーにとって重要極まりないいちごジャムをご紹介します。

“モーツアルトいちご”の粒まるごとジャム 格別な美味しさ

自慢の“モーツアルトいちご”の粒まるごとジャムは、全て当店マダムが一人で厨房で作っています(僕はちょこっと手伝うだけ)。
材料は“モーツアルトいちご”、北海道産てんさい糖、国産レモンだけです。
Portafortuna♪では、実全体がルビー色になるまで木なりで完熟させた“モーツアルトいちご”を粒選りで自ら摘んで、そのもぎたての新鮮ないちごだけを当たり前のように使ってジャムにしていますが、この「完熟」「もぎたて新鮮」ないちごを使えるのはいちご農家の特権です。他の農産物も一緒ですが、新鮮で完熟した農産物を使えるのは田舎であってもやっぱり農家の特権です。
スーパーで買ってくるいちごとは全然味わい・生命力が違います。摘果から実際にスーパーの棚に並ぶまでには2日はかかります。都会ならさらに1日ぐらいかかるのではないでしょうか?木なりで美味しく完熟させてからいちごを摘果して出荷すると、スーパーの棚に並ぶころには痛み始めてしまいます。なので、いちご農家では完熟する前のヘタのあたりがまだ白いうちに摘果する必要があります、そうしないと卸させてもらえません。早めに摘果することによって流通過程で徐々に赤くなり、スーパーの棚に並ぶころにちょうど真っ赤で美味しそうに見えるいちごになるのです。
でも、木なりで完熟させてツヤツヤのルビー色に色づいたいちごと、早めに摘果して流通過程の間に赤くなったいちごとでは味わいはまったく違います。味わいの力強さ、生命力、甘みも酸味もまったく違います。
Portafortuna♪ではそんな木なりで完熟させたもぎたての“モーツアルトいちご”のみを使ってジャムづくりをしています。
ジャム作りの最盛期は5月です。営業日も定休日も関係ありません。1日置きのペースで夕方(にならないと摘めません)になると片道1時間かけていちごハウスに行き、1時間かけて完熟いちごを一粒一粒粒よりして自分たちで摘み、1時間かけて帰ってきてから、数時間(摘果できた量によります)かけてヘタをとり、過熟した部分は切り落としたうえで、北海道産てんさい糖をまぶし、一晩寝かせ、翌日には大きな鍋でじっくり時間をかけてジャムにします。火にかけている間は前から離れることはできません。隣の五徳(コンロ)では保存用の瓶を煮沸消毒させているので、いくら5月でも厨房はものすごい暑さです。1回に作れるジャムは4~5瓶程度なので1年分のジャムを仕込もうと思うととても1か月ではできません。1か月以上いちごと格闘の日々を過ごします、マダムが(僕ではありません)。

ジャムづくり自体は至ってシンプルな工程なんですが、実際には砂糖は何にするか、どのメーカーのものにするか、レモンの量はどれぐらいか、粒を残しつつ適度なかたさにするには火加減はどうか、保存方法はどうするのが良いか、マダムが3シーズンほど試行錯誤した結果、今のジャムが完成しました。保存方法については今も実験中です。

“モーツアルトいちご”の粒まるごとジャムはイートインでしか食べられません

愛情・手間・時間を注ぎ込んでいる自慢の“モーツアルトいちご”の粒まるごとジャムはとっても美味しくて、とてもとても好評です。ここは偉そうに書かせていただきますが、当たり前です。当店のいちごジャムより美味しいいちごジャムは存在しないと思っています。いちご栽培からジャム作りまで一切妥協をせずに作っているのですから。
ジャムを購入できないかとよくお問い合せいただくのですが、先ほど書いた通り量が作れないので承ることはできません。ぜひ店内でクリームティーとしてお召し上がりください。きっと両方の頬が落ちますよ。

クロテッドクリーム

クロテッドクリームはイギリス発祥の脂肪分の高いクリームです。専用ではありませんが、ほぼスコーン専用なぐらいスコーンには欠かせないクリームです。バターと生クリームの間ぐらいの脂肪分で、甘みがあります。牛(たぶんジャージー牛)の乳から作られます。
当店では、中沢乳業さんのクロテッドクリームを使っています。自家製造も考えたことがあるのですが、作るからには本物じゃないと気が済まない質で、本物のクロテッドクリームを作るには生乳(搾ったたままの牛の乳。牛乳や生クリームの元)が必要です。でも、日本では食品衛生法だったか乳等省令だったかの法律で一般の人は生乳を取り扱うことができなくなっています。ということで断念しました。
幸い中沢乳業さんのクロテッドクリームは三重県津市でも手に入るのです。憧れの藤枝理子さんの本によると、パークハイアット東京ホテルのシェフと共同で開発されたそうで、日本で最初のクロテッドクリームだそうです。

さて、そのクロテッドクリームの本国イギリスには2タイプのクロテッドクリームがあって、ひとつはデヴォン州でもうひとつはコーンウォール州で作られています。どちらもイギリス南西部で、有名なチェダーチーズの元祖ウエストカントリーファームハウスチェダーの生産地域と重なります。乳製品の製造が盛んな地域ってことですね。
デヴォン州産のは白くて、コーンウォール州産は黄色がかっているという差があります。
当店もお世話になっている中沢乳業さんのはデヴォン州タイプですね。

クロテッドクリームはスコーンには欠かせないと言われますが、とは言え、実はイギリスでも生クリームを固めにホイップしたもの、バターをホイップしたものを使っているティールームは珍しくないそうです。でも当店は、クロテッドクリームであることにこだわります。

紅茶

スコーンは紅茶を選びません。Portafortuna♪では幅広い紅茶を常時40種類程度ご用意しています(2023年2月4日時点)。メニューブックにはそれぞれの紅茶の味わいの特徴を紹介しています。その日の気分に合わせて選んでいただいたらどれでもきっと満足していただけると思います。いろいろ試してご自分の一番のお気に入りの組み合わせを探してみてはいかがでしょうか?

でも、その中でも特におすすめなのが“こだわりのロイヤルミルクティー”です。当店では、ティーポットではなく大きめのカップで提供しています。冒頭の説明からすると正確にはクリームティーとは呼べなくなりますが、当店のロイヤルミルクティーはスコーンとの相性が抜群です。ぜひ一緒にお楽しみください。

そしてもうひとつ、英国ではプリンスオブウェールズというブレンドティーがスコーンに最も合う紅茶だと言われています。当店でも提供していますのでこちらも一度お試し下さい。

食べ方・作法

クリームティーの食べ方には作法のようなものがあります。
まず、スコーンは厚みが(できれば)半分になるように水平に手で割ります。手で割るのが作法。色々説があるのですが、スコーンというのはスコットランドにある「スクーン」という運命の石から名付けられました。神聖な石をイメージさせるスコーンにナイフを入れるのは不敬だから手で割るということです。でも最近はこの作法も重要視されなくなってきているそうです。地域・年代によるんだそうです。
さて、二つに分かれたスコーンのそれぞれの内側の面に、ジャムとクロテッドクリームの両方をたっぷり乗せていただく(サンドはしません、2ピース別々でいただきます)のですが、その乗せる順番についてクロテッドクリームの産地対抗の熱いバトルがあるのです。
コーンウォール式は先にジャム、その上にクロテッドクリーム、デヴォン式は先にクロテッドクリーム、その上にジャムと乗せる順番が違うのです。そしてそれぞれ自分達の食べ方の方が正しい・美味しい・正当だと主張しているのです。紅茶とミルクどっちを先に入れるか論争もあるし、ジャムとクロテッドクリームの順番も大切なんですね。どっちの主張も一理あるので、第三者としてはいつまでも決着しないで欲しいな~と思います。
でも、当店ではコーンウォール式にジャムが先、その上にクロテッドクリームをのせる順番をおすすめしています。理由は、当店ではスコーンをオーブントースターで温めなおしてから提供していますので、温かいスコーンにクロテッドクリームを直接乗せちゃうと溶けてしまうので、先にジャムを乗せる方をおすすめしています。それと、食べた時の口の中での風味の広がり方がコーンウォール式の方が僕たち二人ともが好きだからです。ちなみに、故エリザベス女王はコーンウォール式派だったそうです。
当店では、中沢乳業さんのデヴォン式クロテッドクリームを使いつつも、乗せる順番はコーンウォール式です。何事も中庸が・・・片一方に肩入れしすぎてはいけません、なんちゃって。

Portafortuna♪のクリームティーへの並々ならぬ情熱を長々とお伝えしたつもりですが、うまくお伝えできたでしょうか?
「こんな美味しいクリームティー食べたことない」「人生で一番美味しい」「感動しちゃった」「毎日食べたい」「スコーンの見方が変わった」などなど多くのお客様をファンにしてしまうPortafortuna♪のクリームティー、ぜひお試しください。絶対の自信でおすすめします。