こんにちは、Portafortuna♪光琉です。
英国の紅茶のバイヤーさんたちは、茶葉を取引するにあたっては、ストレートティーで試飲するのはもちろんですが、その後で必ずミルクティーでも試飲してから取引を決めるそうです。さすがミルクティー大国。
さて、前回まで3回にわたって、紅茶と牛乳の関係について書いてきました(①殺菌方法について、②ホモ牛乳について、③美味しいミルクティーを淹れるコツ)。
今回は、紅茶と牛乳の関係についての最終回として、やや余興的なことについて書きます。
紅茶と牛乳、どちらが先か
紅茶と牛乳、どちらを先にカップに入れるのか。牛乳を先に入れるミルクインファースト、牛乳を後で淹れるミルクインアフター。今なお果てしない議論が続いています。でも、2003年には英国王立化学協会が「完璧な紅茶の淹れ方」という論文の中でミルクインファーストが望ましいという見解を示して一応の決着を付けました。一応です。
カップに先に紅茶を注いでカップ水色を楽しんだ後、牛乳を好みの濃さに入れる。ミルクインアフターの方が合理的なのは疑いありませんが、ミルクインファーストの方が望ましい。どういうことでしょうか。淹れたての熱い紅茶に後から牛乳を注ぐと、牛乳の温度が一気に上昇し、一時的に75℃以上になります。この場合、牛乳中のたんぱく質に熱変性が起こってしまいます。一方で、牛乳に後から熱い紅茶を注いだ場合、牛乳の温度は徐々に上昇し、75℃以上にはならず、たんぱく質の熱変性が起こりにくくなります。ということで、ミルクインファーストだと、牛乳中のたんぱく質に熱変性が起こりにくいのでミルクティーの風味が損なわれない、だからこっちの方が美味しいということだそうです。
ただし、高梨乳業さんの研究によると、このミルクインファースト/アフターの話は低温殺菌牛乳の場合であって、超高温殺菌牛乳の場合はどっちを先に入れようが差は出ないそうです。
実験
こういう話を聞くと実験してみたくなりますよね。多くの方が実験していますが、ミルクインファーストの方が美味しいと言われる方が実際に多いようです。
ということで、この記事を書くにあたって僕たちも改めて実験してみました。
いずれも茶葉はルフナで抽出時間は6分(ちょっと短すぎました)。
①軟水、超高温殺菌牛乳、ミルクインアフター
②軟水、超高温殺菌牛乳、ミルクインファースト
③軟水、低温殺菌牛乳、ミルクインアフター
④軟水、低温殺菌牛乳、ミルクインファースト
⑤硬水、超高温殺菌牛乳、ミルクインアフター
⑥硬水、超高温殺菌牛乳、ミルクインファースト
⑦硬水、低温殺菌牛乳、ミルクインアフター
⑧硬水、低温殺菌牛乳、ミルクインファースト
まず①~④の軟水グループ。①②③は差がわかりません、一緒です。でも①②③のグループと④とでは違いました。④はなんとなく、本当になんとなくまろやかかな~!?という感じです。
次に⑤~⑧の硬水グループ。こちらも⑤⑥⑦は差がわかりません、一緒です。でも⑤⑥⑦のグループと⑧とでは違いました。⑧もなんとなく、本当になんとなくまろやかかな~!?という感じです。
④と⑧は他のと比べてなんとなくまろやかかな~という感じでしたが、だからこっちの方がより美味しいという感じでもないです。ただなんとなくまろやかだというだけです。
理屈で言えば、⑧が一番美味しいハズなんですが、実際には⑤~⑧の硬水グループの方が①~④の軟水グループより美味しいというだけで、超高温殺菌/低温殺菌、ミルクインアフター/ファーストの差はわからないという結果でした。過去に行った実験結果も一緒です。まあ、僕たちの舌に問題があるのかもしれませんが。
ということで僕たちの結論。賞味期限が短くお高い低温殺菌牛乳をわざわざ用意しなくても、いわゆる普通の牛乳(超高温殺菌でホモ牛乳)で美味しいの(例えば大内山牛乳)を用意してミルクインアフターでミルクティーを楽しむ、これがおすすめです。
実験用に買った低温殺菌牛乳がまだ残っているので今度はアッサムでも試してみます。その結果次第では結論が変わっちゃうかも!?ないと思うけど。
キャンブリックティー
キャンブリックとは亜麻という意味ですが、紅茶とハチミツ、牛乳でつくる亜麻色の甘いミルクティーをキャンブリックティーと呼んでいます、日本では。紅茶に鉄分の多いハチミツを加えると黒ずんでしまうのですが、これに牛乳を加えると美味しそうな色に変身しちゃうのです。「日本では」と書きました。本来キャンブリックティーとは、湯・牛乳・砂糖そして場合によってはごく少量の紅茶でつくる子供向けの温かいドリンクのことだそうです。それがいつしか日本ではハチミツを加えたミルクティーのことを指すようになったそうです。