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徒然なること

読書感想文・ステファニア・ジャンノッティさん「イタリアを食べる」

2024-10-24

こんにちは、Portafortuna♪光琉です。

金木犀満開ですが、今年は香りが弱い気がしませんか?なんかもったいないな~、暑さが原因やろか?

先日ご紹介したハイビスカス(ローゼル)のヴィクトリアサンドウィッチケーキ、試しにコーヒー(コスタリカ)を淹れて合わせてみたんですが、みごとに合いませんでした。まったく合わない。ハイビスカスジャムの酸味とコーヒーの酸味がマウント合戦しているみたいでダメでした。紅茶とくにミルクティーとはめちゃくちゃ合ったんで、その差が面白かったです。ちなみにコーヒー自体は美味しかったんですよ。ちょうど自家製のココナッツサブレがあったのでこれにもコーヒーを合わせてみましたが、こちらは最高でした。まあ予想通りですね、合うに決まっている。

ステファニア・ジャンノッティさん「イタリアを食べる 人生を彩る食卓とレシピ」

1996年に出版された本ですからほぼ30年前の本です。もちろん日本語、内田洋子さん訳です。家の本棚に眠っていたのを見つけたので、食欲の秋やし読んでみました。
ミラノ在住の女性建築家で執筆活動もしているステファニアさんの食にまつわるエッセイ&イタリア家庭料理レシピ集です。ステファニアさんは大の料理好きで、嬉しい時もつらい時も楽しい時も悲しい時もつねに料理と一緒に暮らしています。彼女の記憶という記憶は料理に結びついているそうで、「あの楽しい時にはあれを作ったな」「あの悲しい時はあれを作って食べたな」「あそこに行ったときはあれを作ったな」みたいに料理と人生の出来事が一体になっていて、何か料理を食べるとその料理にまつわる記憶が思い出されるんだそうです。

ソフィアローレンみたいな有名人ではなく、ごく普通のイタリア人女性ですから、いたって普通の人生です。ただ、イタリアフェミニズム運動にのめりこんでいたことがあったそうなので、その時代にもかかわらず女性建築家として生計を立てられたということは、相当な教養と実力を備えた女性であるということだと思います。

普通のイタリア人の人生ですから特にここに書くようなことはないんですが、イタリア人の生態(って書いたら怒られるか)がよくわかります。家族・友人との結束が理解できないぐらい濃い。濃すぎてひきました。イタリア人のマザコン(イタリア語ではマンモーニ)は有名ですが、あれはお母さんにだけじゃないんですね。お父さんにも兄弟姉妹にも親戚のおばさんにも友人にも一緒です。僕に言わしたら怖い。常に一緒に居るんです。夏のバカンスにも一族郎党みんなそろって、おまけにそれぞれがその友人まで一緒にひきつれてバカンスに行くんですよ。普段いつも一緒にいるのにバカンスまで一緒に行くって・・・。わざわざバカンス行かんでええやん。

マザコンで思い出しました。僕がシチリアに留学していた時。語学学校が休みの週末にはシチリア中を旅してまわりました。学校は東のタオルミーナにあったのですが、その週末は西の端にあるトラーパニに行きました。旅行者がシチリアを旅しようと思うと基本的にはレンタカーか高速バスを使うことになります。電車は路線が限られています。タオルミーナからは高速バスで1時間ほど南に下ってカターニア、そこから北西方向に2時間半ほど乗ってパレルモ、さらにそこから西南方向に1時間ほど乗るとようやくトラーパニに到着します。トラーパニをブラブラ、近くのエリチェをブラブラした翌日はパレルモで王宮やマッシモ劇場(映画ゴッドファーザーで有名な劇場)を見て回ってカターニア経由タオルミーナに戻ります。パレルモからカターニアへの2時間半のバス旅行の間、30代か40代のイタリア人女性が大声で断続的に携帯電話で話しているんです。切ったと思ったら10分もしないうちにまたすぐにかかってきてって。話している内容は晩御飯どうするとかそんなんですよ。相手は全部お母さんみたいでした。あんまりにも電話がかかってくるので、最後に電話出た時にはさすがにその女性も「今度は何!?」って半分キレて言ってました。面白かったな~。

本に戻ります。イタリア人って食へのこだわりがすごい。手を抜かない。店でもなく自分たちのため、あるいは友人たちとの会食のためによくまあこんなに手間ひまかけて作るもんやなと感心します。ちょっと呆れちゃうぐらい。読んでいるかぎりそれも大量に料理しています。時間かけて作って、時間かけて食べて飲んで喋って。どんだけ時間あっても足らんことない?他にやることないの?って不思議に思います。

ステファニアさんのおばさんが本の中で薄く淹れた紅茶を所望する箇所があります。イタリア人も紅茶飲むんや!スーパーで売っていたのは確かですが、本当に飲む人おるんやな。

イタリアでは臓物を結構食べるみたいです。いろんなレシピが登場しますが、僕は苦手なのでどれも食べてみたいとは思いませんでした。
パレルモに行った時にも臓物を挟んだ名物のパニーノ(パニーニ)は食べませんでした。

本の最後に「一年中役に立つトマトソース」の作り方を載せてくれてあります。トマトが美味しい時期に1年分(実際にはトマトがシーズンオフとなる8か月分)のトマトソースを作るんですが、4人家族分で80キロ!のトマトを使うんだそうです。でどれぐらいの頻度でそのソースを使うか、1日おき!の割合で食べるんだそうです。トマトソース味ばっかりやん。トマト中毒やな。体が赤くなりそう。一回経験してみたいけど、何か月耐えられるかな?

知らなかったでんですが、イタリアにも大学紛争があったんですって。バリケードを立てて立てこもってってやっていたそうです。日本と一緒ですね。